バックオフィス業務に対する価値観を変えてくれた上司の話

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この記事は、外部のブロガーさんに依頼して、バックオフィス業務に関してのコラムを寄稿して頂いたものです。


こんにちは、はせおやさいです。

振り返ればベンチャー企業を複数社経験し、それぞれの会社でよき上司と巡りあってきたなと思うのですが、今回は、一番最初に入ったベンチャー企業の代表から言われた話を書こうと思います。

わたしが「腰掛けOL」だった頃のこと

創業期の半導体ベンチャーにバックオフィスとして入社した当時のわたしは、正直腰掛けに近い感覚で、自宅でネットサーフィンする程度のことはしていたけどITのことなんてさっぱりわからない、でも会社が家から近いし面倒なお局っぽい人もいないし、まあいいか、くらいの気持ちでした。当時のメンバーは創業者である社長と、彼のパートナーである副社長の2人。わたしはまだ20代半ばで、いわゆる「会社のオンナノコ」扱いでした。
エンジニアを積極採用していたのでどんどん人数が増えていく過程で、会社の設備や制度を整えたり、総務っぽいことや社長秘書っぽいことを経験し、「会社ができていく」楽しさみたいなものを目の当たりにしたのはこの会社が最初だったので、無責任なりに面白く働けていたのですが、どうしても「主役はエンジニア」「社長が一番偉い人」という価値観が抜けず、「わかんなかったらギブアップすればいい、どうせ事務員なんだし」という甘えがあったように思います。
そんなノリで半年ほど働いた頃、会社の規模が大きくなってきたことを懸念した社長が、「お茶会をしよう」と言い出しました。社長も副社長も日中は外出していることが多く、メンバーとコミュニケーションが取れなくなりつつあることを懸念していたのかもしれません。ともあれ、「毎週◯曜日の◯時から、会社でお茶会をする。」という企画が立ち上がり、社長のポケットマネーから好きなケーキを買ってきていい、ということでお買い物係に任命されたので、ワクワクしたことを覚えています。


社長がしてくれたいろんな話

そのお茶会は30分程度の短いものでしたが、メンバーの近況をなんとなく共有することもあれば、社長が最近思っていることを話すこともありました。なぜ起業したのか、自分が勤めていた時にこんなことがあった、というようなとりとめもない話でしたが、自分の父親の年齢に近い人の仕事観、というのを聞く機会があまりなかったので、とても面白かった。そのお話の中で、今もわたしの心に強く残っているのが、「組織も仕事も、常にフラットである」という考え方です。

社長にとって「社長」というのはただの肩書・役割に過ぎず、会社に集まってくれたメンバー全員がいなければ、この会社は立ち行かない。どんな職種でも、どんな雇用形態でも、どちらが偉くてどちらが下、というふうには思わないで欲しい。
「だから君がやっているような毎日の細かい作業も、会社にとっては必要な仕事で、それを僕は出来ないから、君を信頼してお願いしているんだよ」と言い添えてもらい、とても誇らしく思いました。
自分がしている仕事は些細なことで、誰でもできるものだと思っていたけれども、社長や他のメンバーのように大きな仕事や重要な働きはできなくても、ちゃんと役に立っていて、必要とされているんだ、と感じられたんだと思います。


組織と仕事は常にフラット

今、当時を振り返って考えると、改めてその言葉の重さを感じます。
社長業は孤独です。何かを発起立案し、資金や人を集め、恐怖と闘いながら意思決定をして、行動に移す。その過程で、全部の業務を一人で抱えられなくなる時期が来ます。
でもそれまですべて自分でコントロールできる範囲で収まってきたことを切り出し、誰かに任せるのもまた別の恐怖です。自分以外の誰かが、任せた仕事を期待通りにやってくれるのか、問題なく進めてくれるのか、つまり、未知数の新たなリスクを取って、また前進するための判断をしなければいけません。もちろん「どこまで任せるか」についてはリスクとメリットのバランスを考えて判断しているのでしょうけれども、その精神的負荷はゼロではない。仕事を引き受けた側が少しでも歩み寄ることで、その負荷を軽くしてあげられたら、組織が前進するスピードは、もっと加速できるのではないかと思います。

1日は、誰にとっても24時間しかありません。その24時間のうち、約1/3を費やしているのが「お仕事」です。今、自分がしている仕事は会社にとってどんな役割があるのか。それはなぜ必要で、どんなことに影響があるのか。その中で、自分には何ができて、何を変えられるのか。自分が任せられた仕事をただ緩慢にこなすよりは、そういった視点を持つほうが、より良い仕事ができるようになるのではないかなと思います。

今日はそんな感じです。
チャオ!

hase0831(はせ おやさい)
会社員 兼 ブロガー。
 好きなものはお酒と読書とインターネット。本業ではWeb業界のベンチャーをうろうろしています。 ブログ『インターネットの備忘録』を中心に活動。 「サイボウズ式」にてブロガーズコラム連載中です。
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