支払条件とは?設定時のポイントや注意点まで基礎知識を徹底解説
契約に先立っては、双方の認識にズレがないようにしておかなければなりません。見積書などに記載する支払条件は、請求した代金を受け取る際の条件を取り決める大切な項目です。
支払条件の基礎知識と、見積書の作成時に注意するポイントを解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
支払い条件とは
請求金額の支払いについての条件
支払条件とは発注された役務(商品やサービス)が遂行された後、その仕事の報酬として支払われる代金の受け取りに関する取り決めを表したものです。
請求後にいつ、どのような形で支払うのかなど、支払条件を明確にしておかないと、仕事をしたのにいつまでも代金が支払われなかったり、現金ではなく手形で支払いがされたりなど、トラブルにつながりかねません。双方が気持ちよく取引を完了するためには、適切な支払い条件を提示することが大切です。
支払条件の主なものは2つ
記載される支払条件は、主に支払方法と支払期限の2つの項目があります。支払方法は現金か金融機関口座への振込が一般的です。ただし、手形や小切手でも受け付ける場合には、その旨を記載します。
金融機関口座の場合には、金融機関名、口座の種別、口座番号、口座名義を明記します。気をつけたいのは、口座の種類(普通、当座)と口座名義です。正しい記載をしておかないと、振込が受付されない場合があります。特に役職付きの個人名まで記載が必要であれば、その旨を注意書きにしておくようにしてください。
支払期限は、「月末締め翌月末払い」などの「締日」があるものと、「請求後(納品後)○日以内」などの日数で決まるものがあります。日本では習慣的に前者が多いですが、業種・業界によっても変わってきます。また海外の場合は、後者が一般的のようです。
支払い条件の基本と設定時の4つのポイント
振込手数料負担を明記
支払方法が金融機関口座への振込の場合は、振込手数料が発生します。業界によっては慣習的に受注側が手数料分を差し引いて請求している場合もありますが、民法第485条が定めるように法律的には支払う側に負担してもらって問題ありません。
“第四八五条 弁済の費用について別段の意思表示がないときは、その費用は、債務者の負担とする。ただし、債権者が住所の移転その他の行為によって弁済の費用を増加させたときは、その増加額は、債権者の負担とする。”
出典:民法
振込手数料は業界や地域によってどちらが負担するのか異なるケースがあります。後から問題にならないよう、支払条件への明記が必須です。
分割や前金の記載
金額が大きい場合や、前金が必要となる場合には、その旨の詳細を記載します。分割の場合は、分割の割合とそれぞれの支払期日をわかりやすく記載してください。
前金の場合は、先渡し分と残金の支払日や支払方法をそれぞれに明記しておきましょう。
継続案件の場合の条件記載
長期にわたる契約の場合は、毎月支払いが行われることがあります。どの部分までの仕事について、いくら請求が発生するのかを明確に伝えるようにしてください。
「毎月〇日締め、翌々月△日払い」というように、締め日と支払日の設定をわかりやすく記載しておきます。双方混乱がないよう、請求時には業務内容の詳細を添付すると親切です。
手形や小切手の扱いに注意
手形や小切手での支払いの場合は、基本的に現金化できるのは支払日以降となります。資金繰りに支障をきたしたりしないよう、キャッシュフローの状況をよく確認して確実に代金を回収できるようにしておきます。
契約に際しては、相手の信用度の確認も重要なポイントです。不安があれば、別の支払方法に限定しておくのが無難といえます。
おわりに
支払条件は代金回収をスムーズに行うためにも、明確に定めておく必要があります。お金に関しては主張しづらい部分もありますが、うやむやにしておいて良いことはありません。ビジネス上は明確さこそが、信用につながります。わかりづらい表現は避け、事前にきちんと取り決めておきましょう。