中小企業の業務効率化・業務改善の始め方(システム導入を検討する前に)
業務のやり方を改善して効率化したい。多くの企業がその課題を抱えているのではないでしょうか。
業務効率化にあたっては、業務そのものの見直しが必要なケースもあれば、システムを導入することで改善するケースもあります。
今回は、業務効率化にあたって、どこから始めてどういった点に注意すべきかをまとめました。
業務の整理と課題の洗い出し
業務改善にあたって、まず最初にすべきことは、社内でどういった業務が行われているのかという整理と課題の洗い出しです。
日々やっていることですので、頭の中でわかっていることも多いでしょう。
しかし、整理することで初めて気づくこともあったり、全体を俯瞰できるようになりますので、まずは業務をリストアップしていきましょう。この際、業務の流れに沿ってリストアップしていくと、整理しやすいと思います。
業務をリストアップしたら、課題の抽出をします。
業務課題は大小様々あると思いますが、まずは「大きな課題」に注目していきましょう。
全てを一気に改善していくというのは現実的ではありませんので、大きなボトルネックを見つけて、まずはそこを改善することが、最も効果的な進め方です。
そのため、業務全体をリストアップし、その中から改善すべき大きな課題を決め、それの対策を検討していきます。
本当にその業務は必要か
業務改善にあたって、「本当にその業務は必要か」という自問自答はとても重要です。
特に長くビジネスをやっている場合、昔からの流れで続いている業務がそのまま残っていることも多いです。昔は必要だった業務でも、現在ではさほど重要でなかったり、もっと効率的な方法があるというケースもよくあります。
業務を変化させるということは心理的なハードルが高いものですが、業務効率化にあたっては、特に古くからある業務は整理した上で、要否の判断や方法の改善などを検討すると良いと思います。
特殊なやり方の見直し
これも長くビジネスをやっている場合によくありがちですが、長い歴史の中で、独自の進化を遂げたやり方が生まれることがあります。
そもそものビジネスモデルが特殊な場合は致し方ないですが、そうでなくても、業務の仕方が独特なケースがあります。これは、個別最適という点ではメリットがあるのですが、弊害も多くあります。
例えば、以下のようなデメリットがあります。
・業務が属人化してしまい、その人が退職すると困る
・新しく入ってきた人の教育に時間がかかり、引き継ぎに時間がかかる
・市販の業務ソフト・システムがフィットしなくなり、システムが導入できない、または高額な開発費・カスタマイズ費がかかってしまう
筆者はこれまで多くの業務システムの開発に携わってきましたが、「うちのビジネスは特殊なので」と言って、独特な方法を維持しようとする会社が多いです。しかし、客観的に見るとビジネスモデル自体はそれほど特殊ではなく、業務のやり方が独自の進化をしているだけのケースが多く見受けられます。
上記のようなデメリットがあり、業務効率化の妨げになってしまう可能性も大いにありますので、業務改善の取り組みの中で合わせて見直すのが良いと思います。
システム導入の検討
まずは業務そのものの整理・見直しを行った上で、次のステップはシステム化です。
人手が多く入る業務は時間もかかりますし、ミスの原因にもなります。システム化できるものはシステム化した方が、スピードや正確性という点で大きく改善できる可能性が高いです。
しかし、「とりあえず導入してみる」では効果が出ないことも多々あります。
システム導入ありきの検討ではなく、「何を改善したいのか」を明確にした上で、システムを選定するようにしましょう。そのため、上記で書いたような業務や課題の整理が必要になってきます。
また、前述の「独自のやり方」が強ければ強いほど、一般的な業務システム・サービスはフィットしなくなります。そのため、
・独自のやり方を維持するためにゼロから開発したりカスタマイズしたりしてシステム投資をする
・安価にシステムを導入するため、システムに合わせて業務自体を見直す
の判断が必要になります。
余談ですが、欧米では「業務をシステムに合わせる」という会社が多いのに対して、日本では「システムを業務に合わせる」会社が多いという話があります。
しかし、中小企業の場合、高額なシステム投資が難しいことも多いです。また一般的にソフト・サービスは、様々な知見が集約されていることもあり、可能な限り「業務をシステムに合わせる」方法を検討する方が良いかと思います。
まとめ
業務効率化にあたっては、多くの場合、システム導入が伴います。しかし、どんなシステムでも、導入さえすれば効率化するというほど簡単ではありません。
まずは業務課題を整理し、システム導入にあたってどういった課題を解決するのか、そのためにどのシステム・サービスが適切なのかというのを見ていく必要があります。
どのようなソフト・サービスでも、全ての会社にフィットするということはありえません。そのため、自社にあったシステムを見つけるためにも、まずは業務課題の整理から始めていきましょう。