売掛金には時効がある!未回収に終わらないためにすべきこと
売掛金には時効があることはご存知ですか?売掛金を回収できない事態は経営者として何としても避けたいですよね。未回収で終わらないためにすべきことをまとめましたので参考にしてください。
*実際の対応にあたっては、会社の弁護士・税理士など関連する士業の方へご確認ください。
売掛金には消滅期間がある
民法では家賃、地代、利息債権や商事債権の消滅時効の期間は5年間と定められています。一方で商品の売掛金債権の消滅時効の場合、その期間はさらに短くなり2年間です。
売掛金を回収できないまま2年が経過すると時効が成立するわけですが、債権自体が消滅するわけではないので請求することは可能です。債務者が時効を主張せずに支払いに応じれば、消滅時効は主張できません。
とはいえ2年も未払いの状態が続いている相手だと、請求しても支払ってもらえる可能性は低いものです。もちろん時効を主張されると、支払い請求はできません。
売掛金を回収するためにできる方法はいくつかありますが、その中から厳選して3つの方法をご紹介します。
内容証明郵便で支払い催告を行う
何度か請求しても支払いに応じない場合、内容証明郵便を使って支払い催告を行うという方法が有効です。
時効が迫った時に支払い催告を行うことで、6か月間だけですが時効を延期できます(民法153条)。
内容証明郵便はどんな内容の文書を誰宛てに送ったのかを証明してくれる郵便局のサービスで、相手にとってはプレッシャーになります。
通常の郵便では証拠に残りませんし、届いていないと言われたら確認する術がありませんが、内容証明郵便であれば、後に裁判にまで発展した際には公的に日付の証明ができるので、支払い請求の証拠として提示することができます。
ただし、内容証明郵便による支払い催告をした場合、6か月以内に正式な時効中断措置を講じる必要があります。相手が支払いに応じないようであれば、同時進行で以下のような方法を考えることが大事です。
簡易裁判所に支払い督促の申し立てを行う
内容証明郵便では何の効果もみられない場合には、支払い督促をしましょう。
これは裁判所名が入った特別な郵便で、簡易裁判所の書記官が相手方に対して支払いを命じる略式の手続きとなります。裁判所に出向く必要もなく、手数料も数千円で済みます。
支払い督促に対して相手方が支払いをせず、さらに異議申し立てもしなければ仮執行宣言を発付してもらえます。これをもって強制執行を申し立てることで、預金口座の差し押さえなどが可能となります。
訴訟に対して支払い督促は必要書類を集める手間もかかりませんし、簡単に手続きできるのが利点です。
ただし、もし相手が異議を申し立てると通常の裁判に移行するため、弁護士費用が発生することになります。さらに遠方であっても、相手方の管轄裁判所へ出向かなければなりません。
少額訴訟をする
少額訴訟は60万円以下の金銭支払いに対し、簡易裁判所で申し立てることができます。
通所の裁判を行うよりも迅速に決着がつくため、少額の場合は少額訴訟が有効となる場合があります。さらに弁護士を介する必要がないので、弁護士費用を用意する必要もありません。
ただし1回の裁判で判決を出すために、一通りの書類はそろえる必要がありますし、なによりも相手が異議申し立てを行えば、通常裁判に移行するので注意しましょう。
内容証明郵便で支払い督促を送っても効果がなかった場合、法的な手続きに基づいて売掛金を回収する方法として少額訴訟を選択肢として考えてみましょう。相手が欠席したり、弁明書の提出などを行わなければ勝訴判決が出ます。