【受託ビジネス編】いつどの書類が必要なのか?〜見積書・発注書・発注請書・納品書・検収書・請求書の作成タイミングとフロー
ビジネス取引をする上では様々な書類が必要になってきます。慣れていれば当たり前のことですが、起業・独立直後などはわからないことも多く、必要な書類のやり取りをしておらず、トラブルになるケースもあるようです。
そこで、各種書類の発行タイミングを整理してみました。
なお、今回は、納品基準で請求する場合の受託ビジネスを想定して書いていますので、他の業界や納品基準が異なる場合などは違う可能性がありますので注意してください。
また、秘密保持契約書・基本契約書・個別契約書は、ビジネスの内容によって注意すべきポイントが変わってきますので、一度、弁護士さんに相談して雛形を用意しておく方が良いかと思います。
秘密保持契約書(NDA)
NDAは、実際に受注有無に関わらず、最初の打ち合わせの段階で締結することが多いです。営業段階でヒアリングした内容には秘密事項が多数含まれています。そのため、まずはNDAを締結してから打ち合わせをする、というスタンスの会社さんも多いようです。
NDAでは、取引内容に依存したような内容は記載せず、秘密保持のみに限定した内容であることが一般的です。そのため、取引都度締結するものではなく、会社間で1回だけ締結します。
一般的には、秘密保持義務は双方が負うべきものですので、「双務契約」であることが多いですが、「片務契約」のNDAが提示される場合もあります。取引先から片務のNDAが提示された場合は、一度相談してみた方が良いでしょう。
見積書
顧客からの依頼事項を元に見積書を作成します。この時に、金額や明細(内訳)だけでなく、前提条件などを備考欄に書くなど、見積もりの前提となっている注意事項も明記します。
特に前提条件の記載が漏れていると、のちのちトラブルのもとになりますので、しっかり記載しましょう。
また、見積書には、「有効期限」を記載することが多いです。この有効期限がないと、例えば「2年前にもらった見積書の内容でお願いします」と言われてしまう場合もありますので、有効期限は書いておいた方が良いでしょう。なお、有効期限は、一般的に2週間から1ヶ月程度が多いようです。
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基本契約書
基本契約書は、正式に受注が確定した段階、または内定した段階で締結することが多いです。基本契約書には、委託者・受託者間の基本的な合意事項が定義されており、逆に、案件固有の事項は書かれていません。例えば、成果物の著作権や瑕疵担保期間などを定義します。
一般的には、会社間で1回だけ締結し、基本契約書に記載されている内容と異なる内容で契約する場合は、都度基本契約書を変更するのではなく、個別契約書で対応することが多いです。
また、基本契約書には収入印紙4,000円が必要です。
参考:No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書までの「継続的取引の基本となる契約書」
発注書(注文書)
受注が確定したら委託者から社判付きの発注書(注文書)をもらいます。呼び方は発注書・注文書のどちらのケースもあるようですが、いずれにせよ、正式に発注する旨の書類を委託者からもらいます。
書類には発注内容が記載されている必要があるため、見積書の明細や備考と同じ内容を記載することが多いようです。
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発注請書(注文請書)
発注請書は、発注書を受領後、発注を承った旨を通知するための書類で、受託者から委託者に対して発行します。注文請書ともいい、機能・目的は発注請書と同じです。品名、数量、納期や支払期限などの契約条件が記載されます。
発注請書は、「確かにこの条件で注文を受けました」という明確な証跡になるため、発注者が受注者に「そんな注文は受けていない」と言われてしまうリスクを低減できます。一般に、そのような事態は発生しにくいためか、発注請書(注文請書)を発行する習慣のある企業は少ないようです。
しかし、人材不足や資材不足など、需要よりも供給のほうが少ない場合には受注者側の立場が強くなります。そのような場合には、念のため発注請書ないし注文請書の発行を依頼したほうが安心でしょう。また、手続きを簡略化するために、契約書の代わりに「発注書・発注請書(注文書・注文請書)」で代用するケースもあります。
1万円を超える発注請書には収入印紙の貼付が必要です。印紙の金額は契約金額によって異なりますので下記をご確認ください。
参考:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書までの「請負に関する契約書」(国税庁)
個別契約書
「基本契約書+発注書」で済ませてしまうケースが多いようですが、厳密には、案件ごとに個別契約書を締結します。
著作権や瑕疵担保期間など基本的な事項は基本契約書で定義されていますので、個別契約書では、金額・契約期間・契約に含まれる内容など、案件固有の内容を定義します。
また、基本契約書の内容と異なる場合は、個別契約書で再定義します。
個別契約書を締結する場合は発注書は不要ですので、発注請書の変わりに個別契約書に印紙を貼ります。
納品書
納品が完了したタイミングで、受託者から委託者に対して納品書を発行します。納品書は、納品した内容を記載するので、見積書と同じ内容かサマリした内容を記載することが多いです。
顧客側の経理処理や内部統制上、支払いのためには必ず納品書が必要というケースがあります。逆に、納品書は特に求められないケースもありますので、顧客に確認するのが良いかと思います。
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検収書
納品された納品物を確認し、問題がない場合に、委託者から受託者に対して発行します。検収書を持って納品が完了したことになります。
検収書には納品内容を記載するため、納品書と同じ内容が記載されていることが多いです。
一般的に、先払いのケースを除き、検収後に請求書を発行する流れになりますので、顧客から検収書を受領することで、請求書を発行できる状態となります。
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請求書
多くの受託ビジネスの場合、納品基準または検収基準で請求書を発行することが多いかと思います。そのため、検収書を受領後に請求書を発行するのが基本ですが、納品書・検収書・請求書を一緒に送るケースも多いようです。
請求書には、請求金額やその明細などの情報に加え、「支払期限」と「振込口座」を記載します。「支払期限」は、「月末締翌月末払い」など、基本契約書で定義されている支払サイト(支払条件)にしたがって記載します。
請求書の詳しい書き方は「請求書作成のすべて!独立・起業前に確認したい請求書の書き方・様式から注意点までぜんぶ教えます」をご覧ください。
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領収書
請求書発行後は、顧客が支払期限までに代金を支払います。入金が確認できた後、必要に応じて領収書を発行します。領収書は、請求した金額を確かに受領した旨を伝えるための書類ですが、一般的に、B2Bのビジネスにおいてはあまり使われることは多くないようです。しかし、取引先によっては「領収書をください」と言われるケースもありますので、いつでも提出できるようにはしておきましょう。
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これだけの書類を作成するのはかなり手間で、ついつい省略してしまうことも多いようです。しかし、トラブルを未然に防ぐためにも、こういった書類をきちんと取り交わしておくことは非常に重要です。
boardでは、これらの書類の作成の手間を可能な限り省くため、見積書を作成するだけで、自動的に発注書・発注請書・納品書・検収書・請求書・領収書が作成されるようになっています。また、印刷・PDF出力も、各書類単体だけでなく、「見積書&発注書」のように、セットで使う書類は一緒に出力できるようになっています。(契約書は除く)
こうすることで、書類作成の手間だけでなく、わざわざ作らないといけないという心理的負担を軽減できればと思っています。
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